人との関わりに興味を持って様々な本を読んでいます。
今回は「コミュニケーションをシンプルに」というタイトルの本を読みました。
対話での意思疎通にも興味があります。
ですが,読み始めてすぐう~んという感じになりました。
何がう~んだったのか。
その辺りも含めて感想を述べます。
冒頭から読み進めると、一段落一文が出てきました。
6行にわたる段落です。
これは…。
文章作法では,分かりにくい文章の例としてよく挙げられているものです。
このブログも一文で一段落だろう。
と返されればその通りではありますが,文の長さが違います。
それに,ブログと書籍の文体は同じにはなりません。
さて,嫌な予感がしたので出版社を確かめました。
自費出版の会社です。
そうではない可能性もありますが、しかし文体その他から考えて、自費出版でしょう。
自費出版がすべてそうではないのですが、伝えたい思いが先行する書籍が多く、中身の整理や検討が十分ではないという印象があります。
そのパターンかなと思いつつ読み進めました。
読了。
個人的見解ですが,そのパターンでした。
一つ私の思い込みによる勘違いがありました。
コミュニケーションは相互のやりとりと思っていたのです。
しかし,本書では元々の意味である伝達で使っていました。
つまり,この場合のコミュニケーションは一方通行です。
本書の主題は伝え方ですね。
どおりで,例として講演を挙げているのが多いはずです。
相互理解のためになるかなと思って読んだのは,私の思い違いだったのでした。
それで,そのよりよい伝え方ですが,筆者はポジティブ観察法という手法を提案しています。
これは,講演などにポジティブ情報がどれだけ含まれているかを観察するという方法です。
ポジティブ情報とは,コミュニケーションを行う上で前向きな情報とのことです。
この情報が多く含まれているのがよいコミュニケーションとされます。
そして,よいコミュニケーションをしている人を観察して,そのよさをまねることでコミュニケーション力を上げる,ということらしいです。
本書のメインは,講演をチェック表を用いた分析です。
もちろん,ポジティブ情報をチェックしているのです。
まあ,ポジティブであれば共感を得やすいでしょうし,共感が高い場合は理解も進むような気がします。
上がらないとまではいえませんが,それだけでコミュニケーション力が高まるかというと,どうでしょうね。
もっと話術というか技能的な要素も必要では,と思います。
まあでも,気分が明るくなる話の方が,聴衆を引きこみやすいのはそうだろうと思います。
だから,本書の主張を否定はしません。
物足りないとは思いますが。
と,こんな感想をもったので,う~んなのでした。
なお,本書に載っていた事例は,ポジティブ情報の量に関係なくすばらしいものばかりでした。
特に東日本大震災の例はよかったです。
これは,ポジティブだから惹かれたのではなく内容がよかったから惹かれたのです。
ここから考えても,コミュニケーション力を分析する観点は,もう少し多いとよいのではないでしょうか。
ポジティブも重要ですけどね。