ギスカブログ

 読書しながらスモールライフ「ギスカジカ」のブログ

「子の問題は実は親の問題」という感じの本

 「親子のカウンセリング教室」という本を読みました。

 これはカウンセリングの事例集です。

 カウンセリングで子供の問題が解決した事例が18載っています。

 カウンセリングの事例の本はあるようでありません。

 なので勉強になりました。

 読後の感想を述べます。

 18の事例があるんですが,基本の構造は一緒です。

 学校などで社会生活を問題なく過ごせない子供がいます。

 問題の現れようは様々ですが,その問題で親が困って相談にきます。

 ここで親の人柄等が簡単に紹介されますが,その中で親子関係が円滑でない様子が語られます。

 子供は言語発達が未熟なので,箱庭療法か遊戯療法でカウンセリングをします。

 箱庭療法は,ジオラマ的なものを作る様子から内面を推察する治療法です。

 遊戯療法は,そのまま何かで遊ぶ様子から内面を推察する治療法です。

 このどちらかで子供の内面の満たされなさを理解します。

 そして,その満たされていないものを補うような関わりをすることで子供の問題はなくなります。

 加えて,親の課題もクリアされます。

 まあ,こんな感じです。

 一つの事例は10ページ足らずで紹介されています。

 つまりコンパクトにまとめられています。

 端的に紹介していることで分かりやすくなっています。

 しかし,あまりのきれいさに,いい事例だけ紹介したのかなあと思いました。

 実際のカウンセリングは,こんなに簡単ではないでしょう。

 子供の問題も単一の原因に帰属できるものばかりではないと思います。

 この本は,平成12年初版です。

 なので,当時はそれほど知られていなかったと思いますが,子供の社会生活上の問題には,発達障害が関係してくることが非常に多いです。

 なので,発達障害が原因の場合,原因の特定ができても解決への道のりは長くなる傾向にあります。

 まだ,家族の愛情,心理学的には愛着,の問題が原因の場合には,原因が分かっても大人の態度がなかなか変わらない,変われないので,これまた解決までの時間は短くありません。

 とまあ,現実にはこんなにこんなにうまく解決するばかりではないと思いました。

 では,ダメな本かというとそうではありません。

 なかなかよい本だと思いました。

 どこがよいかというと,私にはこの二つです。

 一つは,箱庭療法や遊戯療法の具体が分かったこと。

 もう一つは,カウンセリングの枠組みを具体的につかむことができたこと。

 つまり,私のようなカウンセリング初心者にはよい本だと思います。

 実際に子育てで悩んでいる方にとっていい本かどうかは,分かりません。

 何せ,子供は健全で,周囲の大人,特に親,に問題があるという事例ばかり載っていますから。

 読んで落ち込まなければいいのですが。