ギスカブログ

 読書しながらスモールライフ「ギスカジカ」のブログ

ランプを捨てたおじいさんは偉い

 病院面接がズームになったり,家族にふるさと納税を頼まれたり。
 IT関係で新しい挑戦をする日々を過ごしています。
 ITは便利なんですけど,初老の私には,やっぱりついていくのが大変と感じています。
 そんなことを考えていたら,とある童話を思い出しました。
 新美南吉の「おじいさんのランプ」です。

 

1 進歩的な人

 おじいさんのランプは,技術の進歩に翻弄される人の物語です。
 主人公は,行灯やローソクの時代にランプに出会いました。
 その明るさに感動し,これからの時代に必要なものと確信をします。
 そして,ランプ屋として成功をおさめます。
 時代を先取りした,すばらしい事業家といえます。
 明治の文明開化の精神にも合致していたことでしょう。
 仕事と時代が重なり,仕事をすればするほど世の中の役に立つ。
 こんな幸せなことはないと思います。

2 信念と生活

 残念ながら,主人公の幸せな時期は続きませんでした。
 新たな技術革新が起こったからです。
 主人公は町で電灯を見ます。
 その明るさに驚きます。
 私も実祖母から聞いたのですが,電気が来ていないのに電球を買った人はほんとうにいたそうです。
 そのくらい衝撃的な進歩だったのでしょう。
 主人公は,ここで進歩的な態度から離れます。
 ランプに固執したのです。
 最後は,人としてどうかというところまで進みます。
 でも,これも分かりますね。
 私たちは霞を食べて生きているわけではありませんから。
 信念と生活は一致しないのが普通です。
 こういうことって,大小差はあれ誰にでも訪れるものと思います。

3 人生の価値

 主人公は,スパッと切り替えて新しい人生を歩みました。
 それは,素敵なことと思います。
 ひるがえって自分を見ると,こうはいかないだろうと思います。
 もうすぐ定年なのですが,お前の仕事は時代にそぐわないといわれても,行動に移せないでしょう。
 時代にしがみついていくしかないのかなあ。
 そう感じます。
 思うのですが,仕事が人生の価値となるとつらいのではないでしょうか。
 あくまで生活の糧を得るもの。
 そう考えた方が,健全に生きられる気がします。
 そう考えたからといって,社会に害をなすわけでもありません。
 社会の片隅で生かされる仕事をしていく。
 私には,それで十分なように思います。
 さて,時代の象徴ITですが,私はITは好きですが得意ではありません。
 幸いITが仕事の中心というわけでもありません。
 一つずつ調べながら,何とか自分なりにがんばるつもりです。
 さて,ズーム面会の予約はとれたかな。