1 企業スポーツの物語
![ノーサイド・ゲーム (講談社文庫) [ 池井戸 潤 ] ノーサイド・ゲーム (講談社文庫) [ 池井戸 潤 ]](https://thumbnail.image.rakuten.co.jp/@0_mall/book/cabinet/9104/9784065299104_1_2.jpg?_ex=128x128)
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題材は企業スポーツ、社会人ラグビーのお話です。
感想を一言でいうと、おもしろい!
これ傑作ですね。
読後すっきりしたい方には、お薦めです。
まちがいなし。
自信を持って推薦できます。
2 社会人スポーツの現実
社会人スポーツの実際は、わたしたちにはわかりません。
ラグビー、野球、陸上。
時々、決勝戦や大きなレースがTV放送されます。
会社に入ってもスポーツやってる人がいるんだ。
そんな感想をもつくらいです。
しかし、これは池井戸小説。
会社経営上の問題として取り上げられます。
本書の描かれたラグビーチームは年間16億円もかかるとか。
おそらくリアルな数字でしょう。
そして、これだけの経費をかけても収益はほとんどないのだそうです。
親会社からお荷物扱いされるのも、さもありなんです。
3 会社員人生との交錯
本書は、主人公の左遷から始まります。
ラグビーを何も知らないのに、ゼネラル・マネージャーに就任です。
本来なら、気落ちして何にも取り組む気がおきないはずです。
しかし、主人公はチームメンバーにほれこみ、情熱を傾け始めます。
元の地位への復帰も断るくらいにGM業に邁進します。
その中で、社内で敵と思っていた人が味方であることがわかったり、味方だと思っていた人が自分を利用する人であることが判明したり。
会社員人生が翻弄されていきます。
そこで変わらぬのがチーム愛。
実際にこういうポジションだったら、明日にも解散しそうな企業チームに人生をかけられるでしょうか。
そういう問いは、他の登場人物から何度も主人公に投げ掛けられます。
それでもチームやリーグの興隆のために奮闘する。
情熱の塊ですね。
4 ラグビー協会
アマチュアスポーツの協会があまりよい運営をしていないことは、時々ニュースになります。
アマチュアボクシングの山根会長の話とかは、その一例でしょう。
バスケのBリーグも2つの団体があったのを川口さんがまとめたのだとか。
本書のラグビー協会もダメな組織の実例として描かれています。
実際はどうなのかわかりませんが、ありそうな話だと思いました。
保身が第一になると、だいたい組織はダメになるんですね。
改革される方向で話は進みましたが、よりよくなっていくことを期待しないわけにはいきませんね。
5 総評
様々な困難を成長して王道の物語。
恋愛がらみの話もなく、企業内政治の話もあくまでチームの存続と関係した場合のみ。
あくまで社会人スポーツの成功の話。
そういう大きな柱があって、そこに多くの人の人生が関係してくる。
少年マンガのような王道のストーリーです。
エンターテインメントとして、これほどおもしろい展開があるでしょうか。
少なくともわたしは、明日もがんばろうという元気をもらいました。
とにかく読んでみてください。
特に疲れて、すれっからしになってしまった人におすすめです。
絶対楽しめますよ。