ギスカブログ

 読書しながらスモールライフ「ギスカジカ」のブログ

【ネタバレ書評】村山由佳「僕らの夏」

1 すっかり忘れていた

この本なんですが、実は失敗しました。

20年くらい前に読んでいるんですね。

図書館で見つけて懐かしくて借りました。

1巻を読んだことは覚えていたんですよ。

しかも、コイのぶっこみ釣りをしている時の待ち時間に読んでいたんです。

あの頃、なぜかコイ釣りにはまっていたんですね。

コイの釣りって、かかるまでひたすら待つ釣りなんでヒマでヒマで。

それで竿先に鈴つけて本を読んでいたんです。

でも、2巻まで読んでいたとはね。

このシリーズ人気があって10巻くらいまで続いていたはずです。

ですが、2巻目でやめていました。

2 やめた理由の推測

再読して、やめた理由がわかりました。

この本は、ラブコメです。

あの、80年代に少年マンガで流行ったラブコメ

ブコメがなぜ流行ったのかは、マンガの歴史的にわかるところがあります。

それまでのマンガは、スポ根とかギャグとかそういうのが主流でした。

硬派なという表現が古くさいですが、つまりストイックの主人公に人気があったんです。

でも、それだけじゃ人気でないのでヒロインも配置はされていました。

が、もう主人公に潜在的にほれているのが前提です。

恋愛のやりとり的なことは描かれませんでした。

または「ハレンチ学園」とか「けっこう仮面」とか、永井豪先生ばっかりが例になっちゃいますが、直接的に性を表現する作品ばかりでした。

それで、80年代になって、普通の人も告白して付き合いたいというのが力をもってきたんですね。

ちょうど、男性向けのファッション誌、ポパイとかが売れてきた頃です。

それで、実はイケメンなんですけど自信のない主人公がヒロインにアプローチして、おもわせぶりでくっつくのかどうなるのかという展開のマンガに人気が出てきたんです。

おそらく少年マガジンの「翔んだカップル」みたいなのが始めだと思います。

ただ、「翔んだカップル」は、作者の意図と読者の興味がずれていたように感じてました。

ブコメっぽい展開じゃなく、最後は親友が事故死したりと暗い感じで終わりましたものね。

閑話休題、ラブコメの話に戻ります。

このラブコメ路線の極北にあだち充の作品があるわけです。

特に「みゆき」かなあ。

他の作品「タッチ」なんかはスポーツをからめてるので微妙に違うのですが。

で、90年代以降は、「タッチ」の手法をさらに進めて、何かの題材のマンガにラブコメ要素をからめるというのが主流になりました。

恋愛そのものを中心におかなくなったんですね。

要素の一つになったんです。

それで、本作なんですが、恋愛中心のラブコメです。

それも実は血がつながっていない従兄弟という関係の。

この訳あり感もラブコメならではです。

つまりですね、何をいいたいかというと、マンガで流行った手法を遅れて小説が取り入れたという感じなんです。

ブコメ自体は、人気あるジャンルだと思うのでいいのでしょうけど、設定から何から80年代の少年マンガの焼き直し感が強くて、それで2巻目までは読んだんですけど、たぶんもういいやとなったんだと思います。

つまり「みゆき」や「めぞん一刻」で十分だと。

そういうことです。

3 総評

とはいえ、10巻目まで続いているので大人になった主人公がどうなったかは気になりましたので、チャンスがあれば最後の方は読んでみたいと思いました。

2巻目の内容ですが、キスから先に進みたいけど相手の気持ちがよくわからず、また恋のライバルや障害もあらわれてという内容でした。

つまらなくはないけど、おもしろくもない。

ブコメってカップル成立するとマンガが終わります。

つまり、主人公に感情移入してハラハラドキドキするのが楽しいのです。

であるのに本作でわたしは、なぜか主人公に共感できなかったとこういうわけでした。

ブコメは、共感できる主人公をつくることがキモなんですね。

超人の話は読みたくないんです。

自分を投影したいのでしょうね。