1 翻訳題名と本書の内容
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(^_^)「本書の原題は、Look to the Mountain(山を見ろ)だよ」
(^o^)「それがなんで『インディアンの環境教育』になってるの」
(^_^)「副題がインディアン教育の生態学で、それに近いからかなあ。でも、環境保護かなんかの流行りにのって、売れそうなタイトルにしたんじゃない」
(^o^)「そうかあ。SDGsも叫ばれているから、興味をもたれやすいかもね」
(^_^)「まあ、本書は2009年初版だから、まだESD(持続可能な開発のための教育)か何かだったろうけど」
(^o^)「内容は教育関連なのかな」
(^_^)「教育にはもふれるけど、ネイティブ・アメリカンの自然崇拝の解説だね」
(^o^)「じゃあ、環境教育に興味あって読んだ人はがっかりするんじゃない」
(^_^)「そうだね。今風の環境保護とはあまり関係がないから。あきらめて文化人類学の教養をつけようと思うくらいがいいと思うよ」
(^_^)「それから、インディアンという用語はネイティブ・アメリカンと呼ぶ方が妥当だと思うけど、本書はインディアンを使っているので、わたしたちもここではそう呼ぶことにするよ」
2 自然信仰
(^o^)「インディアンの自然信仰って、どういうものなの?」
(^_^)「アミニズムだね。自然のすべてに神が宿るというあれ」
(^o^)「それだと自然保護にはつながらないんじゃないの」
(^_^)「そうだね。自然を管理しようという考えはないよ。敬して恩恵を受けるということかな」
(^_^)「敬してふれないので、結果的には温暖化を防いだり絶滅危惧書の守ったりということにつながりそうではあるね」
(^o^)「もしかすると、インディアンには『環境』を教育するという意識はないんじゃないの」
(^_^)「当たり。これはインディアンが世界をどう理解しているのか。それを次世代にどう伝えているかという話だよ」
(^o^)「自然の中で暮らして、自然からの恩恵で生かされている社会にいたら、自然を畏怖したり崇拝したりするようになるよね」
(^_^)「そうだね。それを物語や神話のような形で次世代に伝えてきたんだ」
(^o^)「近代的な学校で教わるんではないよね」
(^_^)「基本的には、日常生活の中で教えてきたんだね」
3 高次の思考
(^o^)「自然崇拝の他に、インディアンの教育で特徴的なことは何?」
(^_^)「2つあるよ。1つは教えずに引き出すということ。もう1つは共同を大切にすることだよ」
(^o^)「教えずに引き出すってどういうこと」
(^_^)「インディアンは、答えを覚えさせるようなことはしないんだ。学ぶ者が自分で考えて気づく。こういうことを大事にしているんだよ」
(^o^)「今でいう自主的みたいな感じかな」
(^_^)「そうだね。答えを暗記しても意味がなさそうだし」
(^o^)「これって、気づかない者はずっと気づかないということもあるよね」
(^_^)「まあそうだね。でも、答えを教え込んでもわかるとは限らないから、インディアンの方法も効果はあると思うなあ」
(^o^)「共同を大事にするっていうのは、どんなこと?」
(^_^)「より高次の思考と位置づけられているみたい。自分や自分のコミュニティ、その人の環境を考慮して考えることなんだそうだ。こういう高次の思考をすることをインディアンは求めるんだそうだ」
(^o^)「つまり人々や自然を含めて考えるということかな」
(^_^)「そうだね。そうして人々や自然を全体として考えているのだろうね」
(^o^)「まさに環境の一部としての自分だ」
4 総評
(^o^)「このことはとても大事だけど、今はインディアンも近代的教育を受けているんでしょ。それとの摩擦はないのかな」
(^_^)「あるみたい。個々人のインディアンは西洋的な考え方をどう受け入れるかが難しいようだよ。しかし、インディアンの伝統的考えを捨てて西洋的考えに移るというのも何か違うと感じるようだよ」
(^o^)「自然と人間の関係そのものが、インディアンと西洋人ではちがっているのだから、それは当たり前だね」
(^_^)「インディアンが今後どのようになっていくのかも興味深いね。そして本書はインディアンの環境について考え方と伝え方を記録した貴重な書籍といえるだろうね。まあ、今現在教員をしている人にすぐに役立つという本ではないけどね」