1 介護の職のための本
介護に詳しくなりたくて,この本を読みました。
「介護の現場と業界の仕組み」(ナツメ社)
これは,介護を受ける人の本ではありません。
介護の職に就こうかと考えている人のための本です。
私から見れば,反対側から介護を見た本です。
しかし,こういった視点の方が,介護に係る制度をよく知ることができるのではないか。
そう考えて読んでみました。
あにはからんや,よく分かりました。
いい読書になりました。
2 介護の職は名称独占資格が多い
介護の職は資格が重要とのことです。
介護の職の多くは,名称独占資格です。
業務独占資格ではありません。
どゆこと?
この二つの違いは,こうなります。
名称独占資格とは,資格のない方はその名称を使えませんということです。
しかし,仕事はできます。
こういう資格には,栄養士とか保育士とかがあるそうです。
つまり,資格がなくとも栄養や保育に係る仕事をしても構わないということです。
ただし,栄養士や保育士と名乗ったら罰せられるのだそうです。
まあ,資格のない方の仕事には若干不安を覚えますが。
介護士の資格「介護福祉士」「社会福祉士」もその一種で,資格のない方でもできるのです。
ただし,仕事の中には訪問介護など研修を受けていないとできないものもあるとのこと。
誰でも何でのできるわけではなさそうです。
そして,業務独占資格とは弁護士,医師など資格のないものは業務を行ってはいけないというものです。
う~ん。
先の本で,介護の給料が安いのは誰でもできる仕事と考えられていたからだ,という記述がありました。
きちんとした資格をもった人だけができるとなると安心できそうですが。
どうなんでしょう。
頼む側からすると,やっぱりちゃんと勉強して資格がある人にお願いしたいですね。
業務独占資格にすると,仕事ができなくなる方が増えるのかな?
なので,仕事に参入することは容易ですが研修等が必要です,とこの本にはありました。
なるほどねえ。
仕事をする方の資質が資格によって担保されているわけではない。
こういう側面があるのですね。
3 施設の種類
病院から退院する際に「ろうけん」に入ることを勧められました。
「ろうけん」って何?
正式名称は,介護老人保健施設です。
これは,自宅復帰を目指した施設とのこと。
実はお医者さんは,母が自宅に帰ることができるとは考えていませんでした。
しかし,治療は終了しているので,ほんとうであれば「とくよう」がふさわしい。
でも「とくよう」の空きはない。
なので,空くまで入院を続けるか「ろうけん」を探すかといっていたのです。
まあ,「ろうけん」も「とくよう」までのつなぎと考えていたようでした。
結果,補助器を利用して歩けるまで回復したので自宅にもどったのですが,その時は「ろうけん」とだけ聞いたので,なんのことだろう?だったのです。
いわゆる老人ホームにも,様々な種類があることが分かりました。
老人ホームってきっと死語ですね。
さて,これらの福祉施設は,設備の充実ぐあいやそろえるスタッフなどなどによりできることとできないことがあります。
それを種類別に分けているのです。
泊まることはできない施設もあって,デイ・サービスや訪問介護のみをしているのだそうです。
なるほどねえ。
こういうことも知らなければ,施設選びもできませんね。
4 経営の安定
この本は,職に就こうという人向けの本ですから,経営の安定についても強調されていました。
小規模の所は安定していないとあります。
結局,その施設の収入は,利用される方の人数と利用回数によるのだそうです。
であれば,小規模のところは収入が多くない。
こういうことだそうです。
全国展開している企業がいいかというと,どうなんでしょう。
仕事がきつすぎたりしないのかな。
勤務条件等が書面でしっかりあるところが大事とありました。
まあ,内部に不満を抱えている方が利用者に適切に応対するっていうのも,想像しにくい部分があります。
利用する側からしても,経営が安定しているところがいいですね。
突然廃業されたら困りますし。
しかし,こういう職業解説の本にこういうところまで載っているとは。
不安定な仕事というイメージが強いのかなあ。
5 利用した場合の1日の流れ
この本で特に参考になったのが,施設ごとの1日の流れです。
利用者視点での流れではありません。
働いている方が,このような施設ではこういう流れで1日仕事をしますというものです。
でも,利用者よりもこちらの方がリアルというか,分かりやすいなあ。
1日に何軒も訪問したり,何人もの人の介護をしたりというわけです。
職員の方に仕事を頼む際には,書き物で渡した方がよさそうです。
そういうことにも気づきました。
6 読み返したい本
読み終えてから,もう一度読みたい本は少ないです。
この本は知識を得るためのほんとはいえ,もう一度読んでみようという気になりました。
それだけ,介護の知識を知りたいということなのでしょうね。
いい本です。
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