「いじめに負けない心理学」を読んでいます。
著者は,加藤諦三さんです。
まだ途中なのですが,なかなか刺激的な主張がなされていて,おもしろい本です。
二つほど考えさせられたことは述べます。
一つは「人を傷つけることを恐れるのは優しさではない」という主張です。
これを加害恐怖というのですが,これで守っているのは相手ではないとのことです。
では,誰か。
実は自分を守っているとのことでした。
これは分かる気がします。
結局,嫌な思いをした相手に何かされそうだとか,そんな不安から嫌な相手の提案を受け入れてしまう。
波風をたてなければそれでよし。
こういう生き方はあると思います。
ここで著者が強烈な指摘をします。
人を傷つけることを嫌がる人は,人が嫌いであると。
普通に考えて真逆ですよね。
優しい人は人間好きな印象があります。
しかし,心の奥底では人を嫌っている。
なるほどなあと思いました。
その場をとりかく納めようとする人は,相手が将来どうなろうと関係ない。
そんな感じが確かにあります。
少なくとも相手と対等の関係を結ぼうという気持ちはなさそうです。
二つ目は「押しつけタイプ」は相手のことを思っていない,という主張です。
「押しつけタイプ」に対して,慮って接してもその気持ちが伝わることはない。
返って,自分都合で解釈して,悪く言われたりすることもある。
こういう主張です。
確かに,そういうタイプはいます。
相手を利用しようとだけ考えているタイプです。
こういう人に気持ちを分かってもらうなんて無理だと思います。
最初から,相手のことなんて考えていないのですから。
拒否や距離を取ることが対応の基本となります。
ところが,これを断れない人がいます。
先のその場をおさめようとする人です。
これは,最後には「押しつけタイプ」の言いなりになります。
そして,利用されて捨てられると。
つまり,最もよくない対応を選んでしまったということです。
これまでに何度かこういう人たちを見てきたように思います。
確かにいい結末ではありませんでした。
「いじめに負けない」というところまで読み進めてはいないのですが,率直な人間観を出していて,興味深い本だと思いました。
しかし,こういう本がよく出版できたなあと思います。
大衆にうけるためには,悪人がいるという前提の主張はオブラートに包むことが多いと思うからです。
筆者の主張に全面的に賛成するかどうかは別として,読み進むのが楽しみになりました。