1 半沢直樹シリーズ
公立図書館でぶらぶらしていて1冊の文庫本を見つけました。
「オレたちバブル入行組」
大ヒットドラマ「半沢直樹シリーズ」の第一巻です。
ドラマはおもしろかったですね。
どちらかというと登場人物の見栄の切り方が注目を集めてました。
「倍返しだ」とかね。
ちょっと読んでみようと思いました。
2 銀行が舞台
銀行業界が舞台です。
作者は元銀行員。
勤めていた際の知識がものをいっているのでしょう。
リアルに感じます。
とはいっても,銀行で働いたことのない私には分かりません。
そういうものだと思って読むくらいでいいと思います。
高校の頃,就職組が銀行を望んでいたのを思い出しました。
なかなか難しいようでした。
当時の実働部隊は高卒だったんです。
それでも,つぶれない給料がいい,そんなイメージだったと思います。
3 バブル期就職
半沢たちはバブルに期入社しました。
その様子が描写されています。
バブル期の就職は確かに少しおかしかったです。
新入社員にけっこう金を使っていました。
寿司とか当たり前な感じでしたね。
でも,数年でそんな狂乱期は終わりました。
渋い時代の到来です。
小説でもその様子が語られます。
夢破れた行員の人生です。
順風満帆な人生はどこにもありません。
けっこう悲惨です。
でも,これはどこでもあった話です。
不景気ってこんな感じですからね。
拓銀とか長銀とか倒れても,驚いたけど仕方ないなあって感じです。
山一の社長会見には,別の意味で驚かされましたけど。
つまり,そこで浪花節かよっていうね。
厳しくはなりましたけど,今よりまだ余裕があったように思います。
令和は厳しいと思いますよ,ほんとに。
まあでも,バブル期は就職できたからいいですね。
その後の就職氷河期の人たちに比べればね。
4 資金調査
不思議に思ったことがありました。
あまりネタバレしないように話すと隠し財産を探す話なんですが,銀行員が探してこんなに見つからないものなんですかね。
国税も探しています。
今は,出入金の記録が詳細に残っています。
大きな金額ほどそうです。
一銀行員はともかく,国税が見つけられないかなあ。
隠し場所を教えたのも,一銀行員です。
ということは,けっこう誰でも思いつくもののように思います。
まあ,個人の通帳のありかを探すのは,守秘義務から難しいのかな。
ここのリアルが分からないので,ちょっと作品にのめり込めない部分がありました。
5 サラリーマン痛快物
半沢直樹はドラマと同じく,言いたいことをいいしたいことをします。
会社組織の中の自由人みたいです。
リアル組織では,こういうことは難しいよなあ。
そう思いました。
同期がかなりの味方になってますけど,リアルではそんなこともないですし。
「中春こまわり君」で,こわまりの父が自嘲してこんなことをいいます。
「とうちゃんは社員がみんな友達だと思っていたから出世しなかったんだなあ」
こわまりの返しは「とうちゃん,あほだなあ」です。
で二人で笑うと。
何気ないコマですけど,こっちがリアルです。
いざとなったら友達を助けません。
それがサラリーマンです。
これはファンタジーの世界。
だからこそうけたのかもしれません。
6 勧善懲悪ハッピーエンド
ある意味,鬼平犯科帳などと同じジャンルなのかなあと思いました。
大人のヒーロー物です。
ある意味,そう思って楽しむものです。
実社会も鬱,小説も鬱ではやっていけません。
少しリアルな夢話を読みたい。
そういう気持ちに私も共感します。
楽しんで読むことに没頭する。
この小説はそうやって読むものと感じました。
少なくとも,社会で夢のような話に出会ったことのない私にとっては。