1 はじめに
出勤途中にNHKのラジオ第1を聞きます。
「社会の見方・私の視点」が楽しみです。
興味ない分野の話ももちろんあるのですが,たいていはおもしろいお話が聞けます。
地方の漁村の役割の話を聞いて,ちょっと考えました。
今回は,このことを話します。
2 漁村の現状
愛知学院大の先生のお話でした。
私なりに主旨をとらえるとこうなります。
現在,漁村の漁業就業人口が半減している。
漁村は,環境保全に大きな寄与をしている。
漁村維持のためにも,消費者に魚食推進をお願いしたい。
ながら視聴ですから,正確ではないかもしれません。
ご容赦ください。
さて,私は漁村育ちですので,自分が経験している範囲ですが,このことに知見があります。
漁業就業人口はかなり減っているでしょう。
これは,漁業以外でもです。
そもそも人口減少が著しいのですから。
特に震災後は,スピードが増しました。
それと就業者の高齢化ですね。
家業が多いですから,つまりは子の世代が継いでいないのです。
農業も同じだと思いますけど。
それと,専業者が少ないのです。
専業は養殖とかになります。
その他は,別に仕事をしていてたまに海に出るくらいです。
小規模の漁港ではこれが当たり前です。
まあ,農業と比べても産業基盤が弱いと思います。
あと,農業だと退職して土いじりでも,なんてことが昔は聞かれました。
漁業じゃこれは非現実的です。
そもそも肉体労働として高齢者にはきつい。
そして,技能の習得に時間がかかる。
逆にいうと,機械化ができていない部分が多いってことです。
長期的には衰退は免れないと思います。
なくなりはしないでしょうけど。
3 海での産業振興
では,今後どうすればよいか。
養殖と農業はどちらも育てる産業ですが,大きなちがいがあります。
肥料です。
海に肥料をまくわけにはいきません。
流れていきますし,とどまれば海を汚します。
なので,単位面積当たりに収穫量を上げるのが難しいのです。
「山は海の恋人」運動で植林などの環境保全で栄養を増やす。
まあ,そういう取組もあるんですが,速効性はないんです。
印象的だったのは,震災直後のことです。
養殖筏が壊滅的被害を受けました。
それで,できることから始めようとワカメの養殖をしたのですが,これが豊漁だったのです。
検証が進んでないですが,おそらく親潮の栄養塩をホタテやカキが消費しないのでワカメの分が増えた。
こんなんじゃないかと思ってます。
つまりですね,養殖環境は飽和状態なんじゃないかとこう思うのです。
量が取れないとなれば,室です。
つまり高単価にすると。
ブランド化ですね。
でも,これ難しいと思います。
けっこうマネされやすいですからね。
特に養殖ものは。
あと底物じゃない回遊関係は船さえあれば遠くからもとりにきますので。
加工でちがいを出すくらいしか思いつかないなあ。
とはいっても,日本人は新鮮が好きですからね。
結局,難しい。
4 最後に
なので,子というか次世代に託すくらい夢のある産業にならないのですよ。
隙間マーケットはあるでしょうし,アイデアで事業を興す人はいるでしょう。
でも,一大産業にはならないだろうなあ。
少なくとも市町村の人口を倍にするようなものは。
で,人口増えすぎると環境保全が難しくなるし。
「社会の見方・私の視点」で漁村に目を向けていただいたのはうれしいです。
簡単ではないけど,多くの人が関心を持てば,いいアイデアが生まれるかもしれません。
それに期待したいと思います。