ギスカブログ

 読書しながらスモールライフ「ギスカジカ」のブログ

日本・ドイツ戦と人権意識

ワールドカップのドイツ戦に日本が勝ちました。

大変な盛り上がりを見せ、けっこうなことです。

このゲーム、勝敗以外に気になったことがありました。

それは、ドイツ選手の人権意識についてです。

1 カタールの人権問題

カタールの移民労働者に対する扱いが非人道的との批判があります。

世界有数の金満国であるカタールには、多くの外国人労働者・移民労働者がいます。

今回のワールドカップ開催にあたり、スタジアムを始め多くのインフラ整備にそのような労働者が従事しました。

しかし、その労働環境は悲惨といってよい状況だったそうです。

灼熱の中、過酷な肉体労働に行い、賃金は低いまま、そして勤務場所を変えることもままならない。

そういう環境で働いていたと伝えられています。

一説には、6500人以上が死亡したとも伝えられています。

カタール政府は、交通事故などその他の原因で死亡した労働者も含まれていると反論しているそうですが、それにしてもすさまじい数です。

また、イスラム文化から女性の権利、性的マイノリティの権利についても、西側諸国に比べて認められていないといわれます。

このようなことから、カタールの人権問題への批判は大きく、そのため、開会式でのFIFA会長の話には、批判を抑制するような内容がありました。

2 国家を歌わないドイツ選手

LGBTQの社会運動を表す虹。

その虹をキャプテンの腕章にあしらい、人権意識の向上を示そうと7つのチームが考えました。

ドイツもその一つです。

しかし、スポーツで政治的主張をすることをFIFAは禁じています。

そのため、着用に及んだ場合は、競技場の警告を行うとしました。

つまり、イエローカードやレッドカードを与えるということでしょう。

ドイツは腕章の着用をあきらめました。

しかし、抗議の意思は示しました。

口をつぐめ、ということを表すためにゲーム前の国家斉唱の際に、手で口を覆ったのです。

3 あるドイツ選手の挑発

ここまでのドイツ選手の行為は、スポーツと政治という取り扱いの難しいジャンルでの表現という問題があるにせよ、弱者によりそうという点からみれば一定の理解が得られるものです。

しかし、このドイツ選手団の行為は、一人のドイツ選手のパフォーマンスによって台無しになってしまいました。

日本の浅野選手が走りを押さえるために併走したドイツ選手が、笑いを誘うようなフォームで駆け抜けたのです。


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これには、ちょっとバカにしている、傲慢だ、という批判がありました。

一説には、彼はいつもこのような走り方をしているという擁護する意見もあったそうですが、映像を見た方のほとんどが普通の走り方ではないと感じるのではないかと思います。

さて、これはスポーツマンシップに則った行為であり、人権意識が高い人の行為なのでしょうか。

弱者をバカにしているとすれば、それは単なる弱い者いじめであり、相手への敬意を欠いた態度であることに間違いはないでしょう。

マイノリティへの尊重は、どこにいったのでしょう。

4 ブラジル大会でのドイツ選手団

ワールドカップでのドイツ選手の振るまいといえば、ドイツが優勝したブラジル大会が思い出されます。

優勝後のパーティで、ドイツ選手が決勝で破ったアルゼンチン代表をバカにしたパフォーマンスをしました。

ガウチョダンスといわれるこのパフォーマンスは、ガウチョ(南米人)をバカにしたものとして当時批判されました。

前にこういうことをしていたので、その反省をこめての国家斉唱だったのかと思っていたのですが、どうも根本は変わっていないのではないかと思いました。

つまり、国家斉唱での姿は唯の耳目集めということです。

人権先進国でも何でもないのではないか。

こう思われても仕方ないでしょう。

5 総評

ドイツが敗北したことで、ディフェンダーには相応の罰が下ったというような評価もあります。

しかし、こういった行為は勝ち負けに関係なく批判されるべきでしょう。

そもそも、サッカーは「審判をだます」ような行為も「賢い」プレーと称賛するような「卑しさ」を持つ競技です。

高尚なとはいかなくとも健全な精神でプレーしていただけたらと思います。