色の印象と気分の関係を述べた本です。
色は不思議なもので、確かに見る者にある種の印象を与えます。
それはどうやら個人の印象を越えたものがあるらしいのです。
ほんとかな?
この辺りは、実は文化的あるいは自然環境的な要因も大きいので、普遍的な真理というわけではありません。
色ではありませんが、長さの錯視にミューラーリヤーの錯視といわれるものがあります。
直線の両端に不等号のような線を書きたすことで長さが誤認されるというものです。
これは人間にとって普遍的な認識かと思いきやそうでもありません。
中緯度地方に住む方に特有の現象なのだとか。
高緯度に住む方には、また別の見方があるそうです。
というように人間の認識には、知らず知らずのうちに経験や環境から作り上げられたものも多いのです。
色についても生得的とは考えにくいのですが、同質的な文化社会状況におかれている集団には、定形的な傾向があると思います。
それで赤といえば、どんな色か?
まあ情熱的とか温かみとかそんな印象を与えるとあります。
特に異論はありません。
そういう印象がありますね。
他にはどんな印象があるでしょう。
信号機の赤は止まれ。
これは血の色だから危険だそうです。
郵便ポストは目立たせるためと聞きました。
確実に届く安心感とかではないようです。
こうして実例をあげていくと、結局、色の印象は経験から作られているようです。
ガスコンロの火をよく見ている現代人も青を熱いとは感じないようですし、赤外線に色はないけど電気こたつは赤く光るのです。
じゃあ色の心理学は意味がないかというとそうは思いません。
色は社会的文化的枠組みの中で心理的印象を生じさせています。
ということは、色によって大多数がどんな印象を持つのか、ということは分かるわけです。
それが時代にとらわれたものだとしても。
とすれば、利用できるのは、来客を招く部屋のコーディネート。
商店などの来客がほしい場所や来客を応対する人の服装。
つまり、他人にどんな印象を与えたいかと悩んでいるときに役立つというわけです。
広告などそういう機能を使う場合ですね。
他人の目を意識したときに役立つ。
のかもしれません。
落ち着いた空間、落ち着いた人、そう思われたければ寒色系を使えばよい。
フレンドリーな人や場所ならばイエロー系を中心にする。
そんな感じです。
他人の印象を気にする場合は、決して自分が好きな色を使ってはいけません。
誤解される可能性があるからです。
とまあ、ここまで書いてきて、ある程度はそうだろうと思いつつも程度問題だろうなあと思いました。
こういうのって、個人差が大きくて、そんなに確かな反応を得られるとは限りませんからね。
ただ、こういうことを真剣に調査している方がいて、その調査を生かしている方もいてっていう世の中がおもしろいと思います。
ちなみに秘密戦隊のリーダーが赤なのは、放送開始時に調査で一番人気があった色だったからだそうです。
私は、秘密戦隊開始時に小学生で、まさに調査対象世代だったと思いますが、同級生に赤が好きというのは多くなかったと思います。
地域差なのかも知れませんが。