カーディナル33というリールがあります。
主に渓流釣りで使っています。
今では好きなリールですが,愛憎半ばという感じでした。
この面倒くさいリールについて話します。
1 カーディナル33との出会い
このリールを知ったのは90年代前半だと思います。
ある雑誌の「ウグイ将軍」なる記事で,将軍がこのリールを使いニゴイを釣っていました。
リアドラグの小さいリールでした。
とてもかっこよく見えました。
なんと,近くのホームセンターで売っていました。
値段は,驚きの20,000円!
すぐに出せる金額ではありません。
数週間悩んだことが思い出されます。
結局,購入しました。
チリチリとなるラチェット音は,釣り場では恥ずかしいだろうと思いましたが,その時は気に入りました。
基本,富士リール使いはラチェット音に弱いのです。
さっそく釣り場に持って行くと…。
2 カーディナル33封印
その日は,1時間以内に釣りを切り上げました。
釣りにならん!
それがこの時の結論です。
問題はこの2つです。
1 糸がらみが激しい
仕掛けを投げると,なんと糸がかたまりのままスプールから出ました。
よれた糸ですから,当然からまります。
それをほどくのに長い時間がかかりました。
きっちり巻ければ,大丈夫かな。
そう考えて,巻くときにフェザーリング(糸に指を当てて抵抗を増やす)こともしました。
少しはよくなったのですが,根本的には解決をしません。
理由は,スプールを見れば明らかでした。
均等に巻けていないのです。
手前に多く,先に少なく巻けています。
通称「プリン巻き」というそうです。
後に知りました。
これでは,糸がまとまって出るはずです。
2 ベールのネジがゆるみやすい
カーディナル33はベールを手で戻すことができません。
ベールとは糸を引っかけて巻き取るラインローラーなどがついてる針金の部分です。
多くのリールは,手で自由に動かせます。
このリールも,手でおこして投げられる状態にはできます。
しかし,手で元に戻すことはできません。
糸を巻くハンドルを回すことでベールが戻るのです。
この設計自体に問題はありません。
着水後,すぐに糸を巻き取りたい時にはとても有効です。
問題はそこではないのです。
このベールを固定するネジがゆるみやすいのです。
何度か使うと,ガタが出るので分かります。
ハンドルを巻いたらネジが外れたこともありました。
後に,バネワッシャーを入れたりと工夫することになります。
しかし,ネジのゆるみを気にしては,釣りに集中できません。
どちらか一つだけでも,使えない理由に十分です。
雑誌でこのリールが褒められていると,その雑誌が信用できなくなりました。
とはいえ,高級品です。
売らずに取っておきました。
お金をむだにしたなあと,思いつつ。
3 何とか使えるように
また使い始めたのはネットで「プリン巻き」の直し方を見つけてからです。
ワッシャーを入れて,スプールを1ミリ前に出す。
こんなことで解決できるのです。
適当なワッシャーを見つけ,棒ヤスリで削って形を整えました。
それを装着すると。
なんときれいに巻けました。
リールとして当たり前なんですが,びっくりです。
先のバネワッシャー装着と併せて,これで普通に使えるようになりました。
感激です。
今では,改造を重ねた結果,オリジナルの部品は半分くらいになりました。
とても快適に使っています。
悪いところばかり述べましたが,よい点もたくさんあります。
リールの大きさに比べてスプールが大きいので糸の巻きぐせがつきにくいこと。
スプールが短いので,人差し指で糸のコントロールがしやすいこと。
リアにドラグノブがあるので,実釣時の調整が楽なこと。
何より,富士リール好きとしてはラチェット音が好きなのです。
でも,出荷状態でちゃんと使えるようにしていてほしかったなあ。