定年後どう過ごそうかと考える時,思い出す小説があります。
城山三郎さんの「部長の大晩年」です。
これを読んだのは,他業種体験研修でデパートの店員をしていました。
それで,感想と思い出がごちゃまぜになっています。
今回は,そのことについて話します。
1 デパート研修
平成の中頃の話です。
他業種に学ぶ研修というのが流行りました。
まだやっているところあるのかな。
効果のほどは,お察しください。
ということで,何人かの1員としてデパートに派遣されました。
えっと販売員です。
そこで,お客様に対する接し方を学びました。
マナー講習の1つだったのかもしれません。
お買い上げ頂いた方には,3回礼をする。
角度も変える。
そんな細々としたことを学びました。
デパートでの買い物をした経験が少ない私ですが,エスカレーターに乗る瞬間に販売員の方が礼をしたなんて気づいてませんでした。
2 部長の老後
電車で出勤していたんですけど,その時読んでいたのが「部長の大晩年」です。
大企業の部長,大きな工場のナンバー2の退職後が描かれていました。
まあ,本の帯にも書いてあったのでネタバレにならないと思いますが,退職後は俳句の趣味に生きたんですね。
仕事からは一線を引き,充実した老後を送る。
そんなテーマだったと思います。
ちょうど販売員として働いていた時でした。
こういう働き方をずっとするのは自分に向かなないなと感じていました。
向いていないことをし続けるには,別のものが必要なのかもしれません。
その一つが趣味なのでしょう。
まあ,この方は在職中から趣味も大切にしていた方のようです。
部長の人生は,幸せだと思います。
でも,うらやましいかといえばそうでもありません。
こういう人生は,この部長でなくともあると思うからです。
ようするに大切なのは,人生の目的だと思うのですね。
別に趣味でなくとも,老後に打ち込めるものがあればいいと思うのです。
会社という場には戻れませんから,会社人間にはつらいかもしれません。
退職ですから。
そこで,別の何かを見つければいいと思うのです。
昭和には,こういう方は珍しかったのでしょう。
だから本にもなったのだと思います。
3 趣味の意義
ここまでくると趣味の意義を考えてしまいます。
趣味は,何のためにするのか。
何か目的をもって行うのは,もう趣味じゃない気がします。
楽しいから行う,それが趣味でしょう。
とすれば,生活の充実のために趣味をするっていうのは微妙ですね。
他人への承認欲求もあるのかなあ。
でも,こと私に関していえば,趣味は人に誇るものでもないですね。
そんなたいした腕前でもないですし。
えっと,釣りとウクレレです。
4 人生は続くということ
部長の俳句も人に誇るためにしていたものではないでしょう。
好きで続けていたのだと思います。
思うに,退職しても人生は続く。
そういうことなんだと思います。
自分の人生をどう過ごすか。
このことなのでしょう。
私には,大晩年といわれるほど立派な晩年はいりません。
後悔しない晩年があれば十分です。
それにですね。
人生の最後まで,人様にどうこう評価されるのは勘弁してほしいなあ。