またまたカウンセリング関係の本を読みました。
今回読んだのは,土沼雅子さん著「『つらい気持ち』をためこまない!50の方法」です。
ずいぶん直球な題名だと思いました。
実用書みたいです。
内容は臨床心理学を踏まえたものでした。
それでは,紹介と感想を述べます。
1 ためこまないためには
50も方法があるのは心強い。
そう感じる人もいるでしょう。
残念ながら,私はそちらのタイプではありません。
50もあったら覚えるのがたいへんだ。
そう考えるタイプです。
しかし,この本で伝えている方法は細かいところで差はあるのですが,ある一つの方法とその派生バージョンです。
その一つの方法とは何か。
ためこまないためには,はき出せばよい。
これです。
一休さんや吉四六さんでも,もう少しひねると思います。
では,はき出せすにはどうすればいいか。
社会生活を日々送っている皆さん,もう重々承知でしょう。
ため込むような嫌な気持ちは,はき出すと二次被害を生むことを。
そもそも,そうなるのが嫌だからため込んでいるわけですよ。
はき出すよい方法があるのか。
さすがに著者はそれを書いています。
では,紹介しましょう。
2 アサーション
筆者は「DESC」という方法を紹介しています。
机なら最後はKですが。
まあ,頭字語なんて所詮ごろ合わせなんで,意味を求めても仕方ないですけどね。
それぞれの意味はこうなります。
D,describe 相手の行動を客観的に述べる。
E,express empathize explain 自分の感情を表現する。
S,specefy 相手に行動変容を頼む。
C,consider 自分が次にとる行動を伝える。
そんなに英語ができるわけじゃないんですけど,これ一般的にこういう意味でしたっけ?
Eは合ってる気がしますけど。
基となっている論文か何かがあってこうなんだろうと想像しますので,そこはいいことにします。
それで,ここの説明だけだとよく分からないんですが,これはこういうことなのです。
シチュエーションとして,相手から何か要求された場合と考えてください。
Dは,相手の要望をどうしてそういう要望をしているかをとらえて話します。
「あなたは,○○という理由でお金を借りたいのね」
Eは,それに対する自分の感情を述べます。
「でも,月末だし私もお金がないのよ」
Sは,それを踏まえた相手がすべきことを話します。
「あなたは,両親など親族に頼むといいと思うわ」
Cは,今後の自分の行動を話します。
「私は,親しい人にお金は貸さないのよ」
例の会話文は私が考えたので妥当かはあまり追究しないでくだいね。
だいたいこんな具合だと思ってください。
3 相手に意思を伝えること
このアサーションという方法はよくできていると思いました。
だいたい,ためこみそうな感情込みの考えは,相手に伝えるのが難しいものです。
相手を嫌な気持ちにさせる。
自分が嫌われる。
そういうものだからため込むのです。
しかし,ため込んでいけば,自分の心に変調をきたす。
人間そういう風にできています。
はき出すには,冷静さが必要です。
その手順としてこのアサーションは本当によくできていると思います。
まず,相手を理解しようとする。
相手の考えを受け止めるということです。
それがDです。
たぶん相手の心情とか背景とかそういうことを自分なりにとらえたということを伝えることが大切だと思います。
その上で,自分の感情を説明する。
Eです。
ここは説明です。
相手を説得したり,いわんや説得したりするのではありません。
自分を話すのです。
理解してもらうように。
それから,相手に行動の提案をする。
自分の行動じゃなく相手の行動ですね。
命令や指示ではなく,提案です。
最後に自分の行動を伝える。
Cです。
これは今後の自分の行動であり,宣言でもあるわけですね。
こうして,相手を受け止めながら自分の感情をはき出すというわけですね。
よくできています。
4 それでも
これでも相手が納得しないこともあるでしょう。
それは仕方がないとしかいいようがありませんね。
相手の心情はコントロールできませんから。
しかし,相手のことは理解しようと努めている,努めていた。
そこは伝えるようにしたいですね。
この他にため込まない方法として,こんなものもありました。
簡単にイエスと言わない。
常に自分が正しいとは思わない。
仮面をつけたりはずしたりする。
これも先のアサーションのどこかに当てはめることができそうです。
しかし,心にしまい込もうと思うような感情を少々面倒くさい手順を踏むとはいえはき出すことができたら,心は楽になるでしょうね。
ただ,練習とかシミュレーションとかしないと,いきなり本番ではうまくいかないかもしれない。
そう思いました。