ギスカブログ

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読書感想「イカ先生のアオリイカ学」

釣り人の本ですが、釣り方の本ではありません。

いわゆる釣りの参考書ではない釣りの本です。

アオリイカの生態や分布などを釣り人が説明しています。

著者は医師で釣り人のようです。

こういう視点の本もおもしろいですね。

さて、アオリイカというイカをしっているでしょうか。

日本の沿岸各地に住むイカで、ずんぐりむっくりのイカです。

イカは細身のものが多いのですが、太く短い体型をしています。

釣魚として人気が高く、食べてもおいしい高級魚でもあります。

ただし、私の住む三陸海岸では、まず捕れません。

まちがって黒潮に運ばれてきたのがいるくらいです。

なので、ねらって釣る人はいません。

人気があるので残念です。

この本にも載っている分布図でも三陸海岸にもいるように書いてあります。

いない、というか0ではないですが、いないと断言してもいいくらいの密度です。

たまに定置網に入ったりするのをいるという風にはいえないと思います。

脱線しますが、こういうのってけっこうあります。

クロダイカサゴなども、もういないといっていいくらいの密度です。

海はつながっているので、死滅回遊魚的に流されてくるのは根魚系でもいるはいるんです。

でも、それは定住しているわけではないと思います。

さてアオリイカですが、釣魚として人気が出たのはエギングという釣り方が普及したからです。

ルアー釣りの一種です。

この釣り方が開発普及したので、全国的に人気になったのです。

使うルアーはエギといいます。

おしりにイカをひっかけるカンナを付けた、サカナかエビのような形をした仕掛けです。

まあこんな形です。

これ私は名前から考えてもエビを模しているかと思ってました。

本書によると、アオリイカの食べ物は、ほとんどがサカナだそうです。

なので、アオリイカにとってこれはサカナだったのです。

ルアーがサカナやイカからどう見えているかは永遠の謎ですが、エギがほとんど食べていないエビでないことは確かなようです。

意外。

まあ、動かし方もエビじゃないので、サカナで正解なんでしょうね。

ちなみに動かし方は、底に沈める、跳ね上げる、沈める、の繰り返しです。

もう少し、凝った動きはさせるようですけど、基本はこんな感じです。

さて、アオリイカというイカは1種類だと思っていたのですが、実は3種類いるのだそうです。

シロイカ、アカイカクワイカだそうです。

一番多いのがシロイカ、大型になるアカイカ、南洋系で小型なクワイカとのこと。

アカイカの大物はレッドモンスターといわれ、釣り人の憧れだとか。

何年もねらっている人、きっといるんでしょうね。

それから、太平洋側と日本海側では1年の過ごし方が違うのだそうです。

太平洋側は水温の変化がゆるやかなので、あまり大きく移動しないのだとか。

それに対して日本海側は冬季に急激に冷えるので、寒くなると南や沖に移動するのだそうです。

しかし、これには残念なことがあって、能登半島を越えて南下するのが難しいのだそうです。

富山湾で行き止まり、富山湾の深いところに逃げるのですが、水温低下には勝てず死滅してしまうのだそうです。

なんとも残酷。

とはいえ、イカの寿命はいずれにしろ1年なんですけどね。

逆に1年でよくあの大きさまで成長するものです。

骨がないので成長しやすいという説を本書では紹介していました。

このように本書は、アオリイカの知らなかった知識をこれでもかと教えてくれる内容になっています。

サカナって生態が分かっているようで、よく分からないものが多いんです。

ですから、こういう本はほんとおもしろく読めます。

釣り人以外に興味をもつ人は、ないんじゃないかなあと思いますけどね。