1 本作の概要
兄弟が母親の家を相続する話です。
- 価格: 2035 円
- 楽天で詳細を見る
題名通り相続した共有不動産を巡って4人兄弟が揉めている話。
冒頭読んだ印象は、(うわっ、暗い話だなあ)で、読み進めるのに意志力が必要でした。
あんまり暗い話、悲劇とかじゃなくて私利私欲で人間の嫌な面が強調されるされる話は生理的な拒否感が強まります。
気分が悪くなっちゃうんですね。
みなさんはどうなんでしょう?
読み進めるにつれて、そういう面は薄れてきたので読了できたのですが、人が困っている話ってワイドショーの定番ですので、一定の支持はありそうです。
わたしみたいな人もいるかもしれないので話しておきますと、最後はキレイに解決しますし、嫌なところは最初で出尽くすのでご安心ください。
でもですね、相続は少額ほど揉めるっていうのも分かるようなお話でした。
2 兄弟それぞれ
さて、登場人物の設定がちょっと特殊です。
母親(人の気持ちを考えられない言動をしがち)。
長男(優柔不断。事業が不調)
次男(浪費家。大手の窓際)
長女(冷酷な合理主義者。怖い看護婦)
次女(僻み家。氷河期世代の派遣)
という感じです。
母親が子どもたちの幸せをまったく考えてなくて、揉めるような相続を残しているのもポイントです。
子どもら4名それぞれにお金が必要な事情があります。
正直読んでて誰にも共感できませんでした。
読者に「知ったこっちゃないなあ」と思われたら、小説にならないと思います。
一応作者も配慮していて、長女の娘が唯一まともな感じです。
この子が不動産屋に勤務してまして、遺産の売買のお世話をしているのですが、なんとかまとめようとしていて(偉いなあ)って感じです。
うまくいかなのでかわいそうなんですけど。
3 遺産分割の仕方
分割の仕方については合意ができてます。
売却して現金を分ける。
そこはいいんですが、次女がちょっと強欲なんですね。
1億で売却してほしい。
8000万で売っても、わたしの取り分は2500万にしてほしい。
わたしは住んでいるんだから追い出せないでしょ。
とこれが主張。
クッキー屋を開業したくて、その資金が必要というのが動機。
そして、他の兄弟はみんないい目を見てるんだから、わたしはこれくらい要求しても不公平じゃない。
まあ、一歩引いて考えれば、無理筋でしょって感じです。
その感情に共感できる人は少ないでしょう。
その後、情報商材屋にだまされていることが分かるのですが、それを割り引いてもどうかなって主張でした。
さて、売りたくない人が一人でもいた場合の解決法として分筆があるそうです。
要するに、土地を4分割してそれぞれ相続するということです。
分筆って土地を分けることなんですが、おもしろい言い方ですね。
図面上で筆で分けるイメージなんでしょう。
これも万能じゃなくて、土地によっては分筆できない場所もあるそうですが、本作の土地はどうやらできるようでした。
これが決定打となって、次女も8000万での売却に同意しました。
まあ分筆すると、土地の価値は下落するので、そこが大きかったということでしょう。
お金の問題でもあるんですが、次第に相手を負かしたいという気持ちになるようで、現実の相続問題だともっと揉めるだろうなあと感じました。
4 総評
★★★☆☆
3つかなあ。
不動産相続の知識が得られるわけでもないし、あっというような展開もない。
魅力的な登場人物が少ない。
文体が魅力的ということもない。
というわけでさしてつまらなくはないんですが、すごくおもしろいというわけでもないという、そういう評価です。
よくできたホームドラマという感じ。
「渡る世間〜」が好きな方にはいいかも。
人間の真実を表したようなテーマ、例えば、幼い兄弟が仲良いのは利害がまだないからで、大人になると関係は変わる、なんてものがあるわけでもないですしね。
さらっと読めるくらいの文量なので、相続に興味がある方にどうぞって感じです。