1 本作の概要

悪魔の力を宿したヒーローが悪魔と戦うダーク・ファンタジーです。
週間ジャンプのマンガをアニメ化した作品で、TVでアニメ化された作品の続編とのこと。
友情・努力・正義を体現するジャンプ・ヒーローとは一線を画した作品とのことで、人気を集めています。
主人公は悪魔を心臓に宿しているらしく、この心臓を狙う悪魔との戦闘が話のメイン。
設定が凝ったバトルもの、といってしまえばそれまでですが、なかなかキャラクターが凝っていて、楽しめる作品でした。
2 主人公デンジ
デンジは16歳、学校に通ったことがなく読める漢字は「金玉」だけという人。
悪魔対策をしている公安四課に雇われていて、そこのチーフ「マキマ」さんに恋心を抱いています。
悪魔と契約し、チェンソーマンと成ることができます。
その力で悪魔を倒すという仕事をしています。
この主人公の魅力は、こういう能力的なところにありません。
デンジの魅力は愛すべき「バカ」だということ。
深く考えることは苦手ですが、他人に対しては誠実で目標に向かって一生懸命。
そして、色仕掛けに弱い。
好きな人に誠実であろうとしてますが、本能に負ける。
そんな男です。
利他的な人って、結局好かれるんですよね。
3 敵レゼ

ロシア人、美少女、武器人間。
作中まだ存在している国家、ソ連のモルモットという設定です。
原作もアニメも見ていない自分には、正確なところはわからないのですが、たぶん諜報員なのかなあ。
映画ではそれ以上の説明がありません。
国際関係も不明でした。
とにかく、デンジの心臓を狙う武器人間です。
手法として、色仕掛けを選択します。
自分が美少女であることを存分に活かそうということでしょう。
まあイラスト通り、規格外美少女なわけですけど。
そしてこの作戦は、当然のごとく大当たり。
デンジはすっかりレゼに引き寄せられます。
さて、武器人間にとしての武器は爆弾。
自分の体を爆弾にしたり、指先から火花を飛ばして爆弾にしたりします。
もう何でもありの破壊力。
一人一個師団です。
こんな攻撃力もちなのに、色仕掛けを選択する当たり戦略家なのかな。
4 ストーリー
まず最初にいっておきたいのが、本作はテンポが良く、中だるみが一切ないこと。
すばらしい脚本です。
特に、レゼとデンジが出会ってからは、無駄がほぼない。
あっという間にチェンソーマン・ワールドに引きずり込み、怒涛の展開に進みます。
さて内容ですが、これもいいですね。
レゼのデンジに対するアプローチは「まあ、どうみても、これたらしこみでしょ」というわざとらしさ満載なんですが、デンジというキャラクターを考慮すれば引っかかって当然という感じです。
特に、学校への忍び込みなんて、もう恋に落ちない方が不思議。
現実の学校は、セコムだから忍び込めないしプールは覗き防止の壁ができてるし、と思うところはあるけど、こういうイベントがあったら、まあ青春だねと。
学校イベントの次が夏祭りで花火を見るイベント。
ラブコメならもっと時間を掛けるところでしょうね。
その後、あっという間に戦闘開始。
レゼの(できれば殺したくないんだけど、任務遂行上仕方ないかあ)っていう感じがそこここに現れていて、倫理の軸のずれが怖さを増してます。
ターミネーター的な無感情も怖いけど、ぼやきや冗談をつぶやきつつ着々と任務遂行するのも怖い。
恐怖の対象のあり方として新鮮でした。
そして戦闘ですが、さすが爆弾の悪魔だけあって、爆発に次ぐ爆発。
これでもかってくらいの攻撃力です。
もうハエたたきの代わりに火炎放射器でハエに立ち向かってる感じ。
強敵感がハンパないです。
あとですね、レゼの戦闘服が、タンクトップ・パンツ・細エプロンという思春期男子なら悩殺確実なのがなんというか。
破壊、破壊、爆発、爆発なのになんか緊張感を薄めるというか。
でも、(なんでやねん)というツッコミを暴力で抑え込む説得力がありました。
エロと暴力の権化ですね。
降参です。
相対するデンジのノー作戦具合もらしいといいますか。
ビームに乗って追いかけるっていうバカバカしくも絵になる作戦を味方にツッコまれているのもらしい。
最後の最後の決着場面だけは、ちょっと考えたのかなあと思わせますが、まあ偶然でしょう。
とにかく怒涛の戦闘シーン。
最終盤まで息継ぐ暇なしです。
映画館の大画面で見てよかった。
5 レゼの恋心
本作は恋愛物語の側面をもってます。
最初は、レゼからの色仕掛けで、視聴者にとってもそれはあからさまでした。
しかし、物語の最後には、レゼはデンジに恋しているように描かれていました。
一体どこで変わったのか?
考えられる箇所は2つです。
1つは、レゼがデンジに正体を明かす場面。
花火を二人で見るところです。
ですが、どうもここまでは騙す気まんまんだったように思えます。
デンジがマキマさんも好きってわかったから、それで感情が極端に振れたとも考えられなくないのですが、そうではないでしょう。
ここは、プラン1「恋愛作戦=被害少なく目的を遂げる」が破綻したので、プラン2「暴力で奪い取る作戦=周囲の被害も顧みず目的を遂げる」に切り替えたのだと思います。
じゃあ、どこで恋心に目覚めたのか?
やっぱり戦闘終結後の海岸のシーンでしょうねえ。
水中に引き込まれたことで、レゼの負け(というか引き分けかな)が確定しました。
海岸で目覚めたレゼは、自分が助けられたことに気づきます。
ここで、レゼはデンジの素直な人柄に惹かれたのだと思います。
しかし、二人で暮らすことは無理と一度はデンジから去っていきました。
去り際にデンジがいつもの場所(レゼのバイト先)で待つと告げましたが止まりませんでした。
ですが、レゼはデンジの待つ場所に向かうことを決めたのです。
この流れからすると、海岸から去ったレゼは一人でいろいろ考え、それで決定的になったのかもしれません。
残念なことに、レゼは約束の場所に向かう途中で、マキマにやられちゃうんです。
可愛そうでした。
再会しようとしなければやられなかったわけですから。
6 総評
★★★★★
最高点ですね。
おもしろかった。
何度もいいますが、脚本が最高!
キャラクターの魅力もある。
恋愛・アクションものとして最上級です。
付け加えると、主人公がいいと思いました。
小説の主人公は、読者の共感を呼ぶためか、平凡・普通と描写されることが多いのですが、多くは成功していません。
なんというか、要所要所に優れた資質、特に頭のよさが見えるんです。
それで(ああ、やっぱり主人公は違うんだあ)となるんです。
なぜかといえば、やっぱり主人公は作者の投影ですから、それが漏れてしまっているのでしょう。
自分が中高生の時に読んだり見たりした物語の主人公、中高生くらいの年齢の主人公ですが、彼らが言うセリフは、自分には思いもつかないものばかりでした。
ですから、真の共感はもてなかったのです。
彼らは自分とは違う。
というところが残ったものでした。
しかし、デンジは違います。
デンジの思考は、ほんと等身大。
なんなら自分でも、もっといい判断ができるくらいだったりします。
感情に支配される具合も(ああ、そうなるよねえ)って思えます。
悪魔の力が使えなかったら、その辺にいる16歳なわけです。
親近感わくよねえ。
そういう意味でも、すごくいいお話でした。
