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【書評】横関大「ミス・パーフェクトの憂鬱」

1 本作の概要

若き有能な女性が「問題」を解決する短編集です。

推理小説の亜種とでもいいましょうか、事件の代わりに問題が起きます。

解決しなければならない困ったこと。

それが問題です。

その問題を名探偵ではなく有能な女性が解決する。

そういうフォーマットでできてます。

ある種の仕事小説ともいえるでしょう。

キャリアウーマンの理想形というか。

そんな主人公が活躍する小説です。

2 キャラクターを立てる

問題の解決を楽しむという読み方もあるでしょう。

あるでしょうが、それが主流の楽しみ方ではない気がします。

本作はキャラクター小説。

主人公の活躍を楽しむ小説です。

その主人公の属性ですが、これが満腹状態です。

東大出の厚労省キャリア官僚。

そして、現総理大臣の庶子

そういう設定です。

そして、二つ名がミス・パーフェクトです。

完全無欠の女性が活躍するという設定です。

ある種のスーパー・マン物語ですね。

まあ、実は本作は3冊めでして、主人公はもう結婚(事実婚)をしています。

つまり、ミスじゃないってことです。

3 社会面から出てきた問題

それで、どんな問題を解決するのか。

これが新聞の社会面から飛び出したような問題です。

本書には4つの短編が収められているのですが、その問題はこれです。

1 介護離職と出版不況

2 地方首長のセクハラ

3 歌劇団のいじめ体質

4 お菓子の異物混入、技能実習

どうでしょう。

見事に現代的な問題になってませんか。

主人公があまりにも現実的じゃない分、問題が非常に身近、あるいはよく報道されている問題。

つまり、日々の暮らしで不満とまではいかなくともなんとかしたい問題を完全無欠の主人公が解決する。

読者の溜飲を下げる。

見事にそういう構造になっているのです。

4 解決の方法

解決の方法は、読者よりというか庶民よりになってます。

これらの問題で困っている人がいます。

その人たちに寄り添って解決する。

そういう形になっています。

一つ一つの解決策をここで述べてしまうと、盛大なネタバレになってしまうのでしませんが、あっと驚くというような解決ではありません。

善人が不幸にならない解決といいますか、そういうものを目指してます。

スーパー・マンの感性は倫理的。

そこもパーフェクトというわけです。

まあ、2話目の首長セクハラはちょっとアクロバットですけど、それも不幸な人たちを救うという方針上に現れた解決策を取っただけ、ともいえます。

なので、読後感はどれも爽快ですね。

5 まとめ

★★★★

4つですね。

おもしろかったし、サクサク読み進められました。

スーパー・マンが活躍するおとぎ話なんですけど、そこそこリアリティもありますし。

ページをめくるのが楽しい小説です。

ただ、登場人物の内面を描いているかというそれはありません。

主人公が、ちっともパーフェクトじゃない、と内言する場面がありますが、そんなに深刻な感じでもなく。

まあ、大衆小説に敢えて寄せているのかもしれません。

いい意味でドラマを見るような感じで読める小説。

新幹線移動のお伴には最適。

そんな印象を持ちました。