1 本作の概要
高校のおもしろ文化部、青春小説です。
こういう高校文化部の青春物語って、80年代ぐらいから始まったと思うのです。
マンガですけど「究極超人R」ぐらいからかなあ。
後は「僕は友達が少ない」の隣人部かなあ。
そうそう「古典部」シリーズもそうですね。
ライトノベルでは、同工異曲が多く現れました。
本作は、一般小説なので、SFっぽい設定もなし。
「平安部」というちょっと変わった部を舞台としている。
それが特徴です。
2 山場はない
こういういわゆる日常系は、個々のエピソードの積み重ねで展開していくことが多いのです。
「僕は友達が少ない」がそれの極北のような感じで、一つ一つのエピソードの長さも揃っていません。
つまり、短編集という形式も崩している。
そこまでいかなくとも、大きなストーリーというものが設定されていないか、あっても薄いものが多いのです。
本作は、1冊完結らしいので、そこまで自由ではないのですが、これといった山場はありません。
あらすじを簡単にまとめます。
1 高校入学した主人公は前の席の子に「平安部」に誘われる。
2 「平安部」は新設の部で部員を5人集めなくてはならないが、なんとか集める。
3 蹴鞠の大会に出場したら、優勝してしまう。
4 文化祭で平安時代に関する展示を行い、成功する。
5 高校生活が楽しくなる。
というものです。部を作って、蹴鞠大会で優勝し、文化祭で発表する。
それだけのお話です。
一応、文化祭が山場っぽくなってるんですが、それほど盛り上がっている感じもありません。
どちらかといえば、蹴鞠で優勝した場面の方が盛り上がったかなあ。
多くの場面は、小さなトラブルを乗り越え乗り越え進んでいくといった感じです。
こういう日常系というかゆる文化部系は、ストーリーよりもキャラクターの魅力で読ませるのですが、その辺りはどうかというと…。
3 キャラクターは平凡
平凡でした。
まず、主人公ですが、あまり特徴のある人ではありません。
これ自体はライトノベルにありがちで、読者の共感を呼ぶためだと思います。
中学の頃、平安美人と社会科教師にいじられたというのが「平安部」とのつながりといえばつながり。
それも本人がそう思っているだけで、他人に伝えているわけでもありません。
次に、創部を志した友人ですが、エネルギッシュです。
よくあるパターンだと、行動力があり非凡な才能を持っている場合があるのですが、本作はそこまででもありません。
行動力があり、書道が上手という特徴はあるのですが、それほどでもない。
創部しようというきっかけは、中学時代ハブられていたので、高校デビューをしようと思ったから。
案外そのことを気にしていたりします。
けっこう等身大で描かれています。
平凡の範囲と行っていいと思いました。
その他は、中学でサッカー部だったバイト命マンと、超イケメンの創部者の幼馴染、
和歌好きの先輩とそこそこキャラクターはあるもの、そこまでの特徴ではありません。
それぞれエピソードによっては個性を生かされてはいますけど、そこまで活躍しているわけでもなし。
なので、キャラクターの魅力によって読み進めるという小説でもないような。
「古典部」くらいキャラが立ってるとおもしろかったと思いますけど。
4 総評
★★★☆☆
3つかなあ。
つまらなくはなかったですが、読み返すほどでもなし。
ミステリーでもSFでもない、熱血系でもない部活ものはなかなか難しいな。
というのが印象です。
しかし、一定の読者はつきそうな気がします。
それは、こういう高校生活が送りたかったという憧れが手に届く範囲で描かれているから。
そういう読者をつかもうとする構想があったとしたなら、成功していると思います。
お話としてのおもしろさを求めると、肩透かしをくらいます。
そんな感じです。
読者を狭めている作品といえるかもしれません。
