1 本作の概要
楽曲をヒントに作られた恋愛映画です。
わたしが知らないだけで、楽曲にインスパイアされた映画っていくつかあるみたいです。
中島みゆきさんの「糸」とか。
これは爆風スランプの「大きな玉ねぎの下で」が基になっています。
まえにノベライズされた小説も読んだのですが、それとは異なるストーリーでした。
で、結論をいうと、映画の方が断然よい!
こっちの台本の方がストレートだし、変な要素をもちこんでないし。
見てよかったと素直にいえます。
2 あらすじ
大学4年の丈流(たける)は、就職活動に一歩踏み出せずバーでアルバイトする日々。
そのバーは昼はカフェになるというお店だった。
バーとカフェで消耗品購入等を共有するため、連絡ノートが作られた。
丈流は連絡ノートに心情も綴るようになり、顔も知らぬカフェの店員へ思いを寄せる。
しかし、実は二人は顔見知りであり、カフェ店員は丈流の母が入院している病院の看護実習生で顔をつき合わせると言い争いになる美優だった。
丈流は、カフェ店員にコンサートチケットを贈り、武道館で対面するように働きかけるが…。
という展開です。
文通が一般的じゃなくなった現代、それを連絡ノートという形で代用したお話になってます。
さて、この話に40年前の文通の話が重なってきます。
40年前、文通していたのは丈流の父と母。
ただし、二人とも代役で、父は友達の代筆、母は写真に友達のものをつかってなりすましていたのです。
40年前も武道館のコンサートに誘うことになりますが、入院中の母を医者の許可が下りず行けません。
母の友達がそれを父に伝えたことで、コンサート会場ではありませんが二人は会うことができました。
お互い薄々なりすましだと感づいていたため、ハッピーな邂逅となりました。
このことがどう現代にかかわってくるかというと…。
40年後、母の病気が悪化したことで父は、例の4人、自分・自分の友人・母・母の友人で会うことを企画します。
母はよい思い出を胸に天国へと旅立ちました。
母の死をきっかけに自分から行動を起こすようになった丈流。
さて、もう一つの恋は…。
こんなお話でした。
小説では女の方の父母であった40年前の文通相手が男の方の父母になっています。
そのことが男の成長を表すいいスパイスとなっていました。
3 俳優と演技
本作、演技がよかったですね。
まずは、丈流の父を演じた原田泰造。
そうネプチューンの泰造です。

いやあ、本人のキャラとはまったくちがっている内気だけど誠実な男を見事に演じきっていました。
難しい役だと思うのですよ。
でも芸人なのに本職顔負けで、すばらしかった。
息子に語りかけるシーンもよかったなあ。
次は、ヒロイン役の桜田ひより。

活発で芯の強い女性を演じきってました。
表情がころころ変わるのも、この役にはぴったりでしたね。
大げさまではいかずにキャラの範囲にとどまっていたのもいい。
魅力的な女優でした。
その他の役者もよかったなあ。
丈流の友達とかバーの店長とか。
退屈するシーンがほぼなかったですもの。
4 総評
★★★★☆
4つです。
ほんと人に薦められますね。
「大きな玉ねぎの下で」を知らなくてもかまいません。
純粋に青春の葛藤と恋愛を描いています。
まあ、主役の二人に乗り越えるべき大きな障害があるとか、人間の普遍的な真理を表しているとか、そういう類いの映画ではありません。
ありませんが、等身大の若者の葛藤に共感と好感がもてました。
小説と異なり、洋楽とかカセットテープとかそういうガジェットがないのもよかった。
あれは、本当にその時代を過ごした者には違和感を与えるだけでしたから。
まあ、ないものねだりで一ついうと、40年前の町並みがシャッター街だったことが残念でしたけど。
当時は地元商店街で閉店シャッターの店なんてまれでしたから。
今、撮影するとなるとこうなるのかなあと残念に思いました。
そこまで再現するとアホみたいにお金かかるでしょうしね。
最後に。
この映画を見るに当たって、初めての経験をしました。
シアターでたった一人で見たのです。
貸し切ったわけでもないのに。
深夜の最終上映でもありません。
いやあ、売れてねえ。
まあ王様気分ではありましたが。
それとあっという間に公開終了なんですよねえ。
わたしの近所は3月までもたないです。
数週間の公開らしい。
いい映画なんだけどなあ。
それが残念でなりません。