1 本書の概要
古典的といってもいい、個人投資家への指南書です。
本書の主張はあまりにも有名で、今さら書くのも恥ずかしいのですが、こんな感じです。
1 インデックス投資をしろ。
2 市場に居続けることが大事。
3 手数料は低ければ低いほどいい。
現在第8版ですが、初出は1985年。
そんなに前から、このような主張をしていたんですね。
アメリカは401K で、老後資金のために個人投資が日本のバブル前から盛んでした。
そのくらい投資については進んでいたのでしょうが、驚きです。
改め、その主張について考えて見ます。
2 インデックス指数に連動するということ
インデックスとは指数のことで、まあ株価指数だと思ってください。
世の中には様々な指数があります。
どの株価を取り上げるか等で変わってくるのです。
ということで、指数によって多少の差はあるのですが、大枠そんなに変わらず株価の上下を示すものと考えられます。
これに連動するとはどういうことか。
世の中の株が上がれば上がる。
世の中の株が下がれば下がる。
そういうことです。
つまり、世の中が発展すればあなたも儲かる。
そういう仕組みです。
経済発展と一蓮托生、運命共同体。
そんな感じです。
なので、明るい未来を信じれば買いということになります。
株価の歴史を見ますと、まあ通貨の価値がインフレしていることを抜いても、経済が拡大し発展してきたことはまちがいがありません。
なので、信ずるに足るということになります。
時々、暴落があるので、そのことを織り込んでいる(あるものと思って受け流す)ことが大事ではありますが。
インデックス連動にはもう一つの側面があります。
それは自分で売り買いを判断しないということです。
安く買い高く売れ。
そうすれば儲かる。
これは、商売の常識ですが、株に関してはうまくいかないのです。
なぜなら、いつ安くなりいつ高くなるのかは誰にも分からないから。
様々な統計を駆使し説明する人はいます。
いますが多くは結果論で、未来のことは分からないのです。
インデックスは指標に追従するのだから、自分では考えません。
それでは損するのではないかと思われるでしょうが、本書によれば自分で売買判断したものに対して圧倒的勝率だそうです。
なんとかの考え休むに似たりとはいいますが、優秀な方の考えも休むに似ていたわけですね。
3 稲妻の輝く瞬間に市場に居ろ
すごくかっこいい言い回しです。
何ですが、具体的な行動としてはこれ。
資産価値が減っても売るんじゃねえ。
つまりですね、株価が反転急上昇する局面があるからそれを逃さないためには市場に居続けろ、ということです。
下がると利益確定したくなるから売っちゃって現金で持ちたくなりますね。
そうすると資産は預金となり株市場にはいなくなるわけですが、そうすると急上昇を逃すというのです。
これは、先のインデックスの話と同じことを言ってるところもありまして、つまりは急上昇がいつ起きるかを知る人はいないってことなんです。
だから、経済の前進を信じて売らずに粘れよってアドバイスなんですね。
余剰資金で投資しろってのは、こういう面からも正しいのです。
4 手数料の罠
手数料というのは、証券会社の手続き料のことです。
売ったり買ったり管理したりしてくれるので手間賃を払います。
そういうことなので、正当な料金なのでありますが、問題は額です。
なんとなくですが、株で損したら手数料まけてくれないかなって思いません?
負けたんだから、お金ないし。
しかし、手間はかかってるんだからと負けようが何しようが取られるんですよ、手数料。
しかも%で。
定額じゃないんですよ、定率です。
3%しか儲からないのに1%も取られたら嫌じゃないですか。
3分の1ですよ。
でもね、こんな利率、普通に取られたりします。
恐ろしや。
なので手数料は低ければ低いほどいい。
そして、インデックス投資は指数連動であんまり分析もいらないからこの手数料が安いんです。
そういう面でもお得なんです。
5 総評
★★★★★
文句なし。
教科書ですよ、個人投資家の。
今じゃ常識過ぎて本書じゃないと学べないってことはなくなってますが、それは類書が本書の考えを踏襲しているからです。
本家を読むのが一番。
そんな感じです。
読後に一番感じたことは、世界経済の発展を信じてなきゃ投資なんかしちゃいかんってことでした。
自分が投じたお金を使って誰かが儲けてくれる。
それが株式投資なんですから。
生き馬の目を抜く世界といわれたこともありますけど、誰かの金をくすねることばかり考えていては市場に残れないのでしょうね。
「敗者のゲーム」に参加しないよう気をつけます。